診療科目:インプラント
顎の骨にチタン製の人工歯根(インプラント体)を埋め込み、それを支えに、上部に人工歯を装着して、失われた歯を再構築する治療法です。歯根から再構築させるため、手術を含め、処置段階が多く、治療期間も長くなりますが、一本一本が自立するほか、健康な他の歯を削ったり負担をかけたりすることはありません。
歯茎のラインや歯の色や形も天然歯と同等で審美性が高く、噛む力がしっかりと取り戻せます。
最上部に装着する人工の歯です。型取りをして技工士が作製します。
2.アバットメント
インプラント体(下部構造)と上部構造を連結する部分です。
3.下部構造:インプラント体
顎の骨に埋め込むチタン製の人工歯根です。チタンは生体との親和性が高く、顎の骨と直接しっかりと結合します。
4.顎の骨(歯槽骨)
インプラント体を埋め込むための土台となるため、十分な骨の高さと厚みが必要です。
骨の量が足りない場合には、骨を増やすための治療が必要となります。
材質や安全性、手術前に必要な検査
■チタンのアレルギーにおける安全性
インプラント体の材料に採用されているチタンは、極めて生体親和性が高く、骨と結合する特徴があります。
人体に異物と認識されにくいため、一旦骨と結合すると、人体の一部として安全に体内に存在できる金属ですので、アレルギーの心配はほとんどありません。
■専門医による麻酔管理と安全体制
歯科麻酔医との連携により、通常の局所麻酔の他にも、不安の強い方や痛みに敏感な方、高血圧や糖尿病を始めとする全身疾患の不安をお持ちの方は、静脈内鎮静法を併用して手術を受けていただく事が可能です。脈拍・血圧・心電図・呼吸などの麻酔管理に必要な項目をリアルタイムで把握する「生体情報モニター」以外にも、AED・緊急薬剤・酸素・蘇生キットの全てを完備して、安心・安全な手術をご提供します。
■必要な検査・処置:CT、X線、サージカルガイドについて
CT検査によって、通常のX線では正確に確認できない骨質・骨の高さ・骨の形状・神経管の位置や、インプラント埋入部位の骨の状態などを細部まで撮影する事が可能です。このCTデータを基に、より正確な診断と精密なシュミレーションの検討を重ね、インプラント体の埋入位置や角度を正確に反映するのに不可欠な装置「サージカルガイド」を作製することで、より高度かつ安全な手術を実現します。
治療ステップ
■STEP1 精密検査
口腔内写真・X線検査・CT検査・噛み合わせの確認などによる綿密な診断を行います。
■STEP2 治療計画の説明
検査結果を基に、治療方法・術式・期間・費用をご提案します。
■STEP3 一次手術 下部構造埋入
歯茎を切開し、インプラント体を骨の中に埋め込みます。
■STEP4 治癒期間
埋め込んだインプラントが骨と結合して安定するまで上顎で4〜6ヶ月、下顎で3〜4ヶ月必要です。
■STEP5 二次手術 アバットメント装着
歯茎を再切開し、インプラント体上部に、アバットメント(上部構造との連結部品)を装着します。
■STEP6 治癒期間
歯茎が治癒するまで1〜3週間が必要です。
■STEP7 型取り
アバットメント上部に装着する人工歯を作製するため、型取りを行います。
■STEP8 上部構造の装着
完成した上部の人工歯を装着します。
■STEP9 メンテナンス
手術や装着が完了した後も、歯の寿命をできるだけ延ばすためにはご自身の毎日の歯磨きと同時に、定期的な歯のクリーニングとチェックをおすすめします。噛み合わせ、インプラントのネジの緩み等、維持・管理していくことが大切です。
インプラントのメンテナンス
■歯科医院での定期メンテナンス
保証の適用を受けるためには、3ヶ月に1度のメンテナンスが必要です。
インプラント周辺の歯周組織の検査に加え、ブラッシング指導、歯垢・歯石の除去を行います。
■毎日のお手入れ
天然歯と同様に毎日の歯磨きが不可欠です。歯周病予防のためにも、インプラントと歯茎の間を重点的に磨きましょう。
■インプラント周囲炎の予防
インプラント体や人工歯自体は虫歯になりませんが、天然歯で発症する歯周病と同等の「インプラント周囲炎」が周辺の歯茎に発症する可能性があります。インプラント周囲炎が進行すると、顎の骨が吸収され、次第にインプラント体がぐらつき、最終的にはインプラント体撤去が必要になる場合もあります。毎日の丁寧な歯磨きと、歯科医院での定期メンテナンスでしっかりと予防する事が大切です。
インプラント・ブリッジ・入れ歯の仕上がりについて
■インプラント
・通院回数:5~10回
・見た目:◎
・噛み心地:◎
・密着性:◎
・費用:1本400,000円(上部200,000/下部200,000円)【保険適用外】
・メリット:違和感がない、健康な歯を削らずに治療ができる、自分の歯に近い自然な見た目が得られる、自分の歯と同じような噛み心地が得られる
・デメリット:手術が必要、ブリッジに比べ費用がかかる、通院回数が多く、治療期間が長い
■ブリッジ
・通院回数:2~5回
・見た目:◯
・噛み心地:◯
・密着性:△
・費用:【保険適用】の場合→約10,000円前後
【保険適用外】の場合→300,000円~420,000円
・メリット:噛み心地に違和感がない、入れ歯に比べ、目立たない、治療期間が短い
・デメリット:健康な歯を削る必要がある、多数の歯が欠損している場合には適用外
■入れ歯
・通院回数:3~5回
・見た目:△
・噛み心地:☓
・密着性:☓
・費用:【保険適用】の場合→約10,000円前後
【保険適用外】の場合→180,000円~400,000円
・メリット:違和感がない、健康な歯を削らずに治療ができる、自分の歯に近い自然な見た目が得られる、自分の歯と同じような噛み心地が得られる
・デメリット:違和感がある、発音に問題が生じやすい、見た目が良くない、バネをひっかける歯に負担がかかる、歯の間に食べ物が挟まりやすい