PEEK冠 完全解説 実際につけてみた・外すことになったエピソード付き

みなさんこんにちは

歯科医師の大原です。(@yutaohara023

今日は新しい保険材料PEEK冠のお話。

【PEEK冠とは】

ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を使用したクラウンのことです。
PEEKは1978年にイギリスで量産化に成功した高強度プラスチックで、航空機や自動車の部品に使われるような素材です。

2023年12月からPEEK材料を利用したCAD/CAM冠が新たに保険材料として使えるようになりました。
従来のCAD/CAM冠は、第2大臼歯に使えなかったり、第1大臼歯であっても第2大臼歯が全て残っていないといけなかったりと条件がありましたが、PEEK冠は無条件で使うことができます。

【PEEK冠のメリット・デメリット】

メリット

  • 金属と同じくらい薄くてもOKなので歯を削る量が少ない
  • 金属アレルギーの患者に使える
  • メタルフリー
  • 従来のCAD/CAMより割れにくい

デメリット

  • 透明感がなく白すぎて見た目が悪い
  • 長期の臨床成績がない

【実際につけてみて…】

見た目の目立ちが銀歯よりすごく、患者さんから外してほしいと言われてしまいました…😭

外す時の感覚は、ペットボトルのキャップを削って取ってる感じです。


(除去の模様をYOUTUBEで公開中)

ものすごく柔軟性があり強靭で、割れにくいのも納得です。

【オススメはe.max・ジルコニア】

以前のセラミックスは強度が低かったため1.5-2.0mm以上の厚みが必要で、その分の歯を削る必要がありましたが、高強度セラミックス材料では1.0mmの厚みで十分な強度があります。

その高い高強度のセラミックス材料をラバーダム防湿やZoo防湿を行い、湿度の低い状態で接着させるとさらに強度が上がることがわかっています。

e.maxは適切に治療を行うと16年96.49% 成功したという研究結果も海外では報告されています。(Malament 2021

ただ材料としてセラミックスを使うのではなく、適切な防湿・清掃・接着剤料を用いることで長く保つ工夫をしています。

範囲が小さい場合は、e.max インレー・オンレー

  • 費用:120,000+税(インレー・オンレー)
  • リスク・副作用: 虫歯が深い場合、神経の治療が必要になることがあります。 噛み合わせが強い場合、割れたり脱離することがあります。 経年的に接着部に着色が起こることがあります。

範囲が大きい場合は、e.max テーブルトップベニア・ジルコニアクラウン

e.maxは接着力の高い材料で接着すると強度が高くなります。 さらに現在の接着剤は以前と比べて高くなっているため、被せ物の削る範囲を歯の上部だけにできるようになりました。

  • 費用:140,000+税(e.maxテーブルトップベニア・ジルコニアクラウン)
  • リスク・副作用: 虫歯が深い場合、神経の治療が必要になることがあります。 噛み合わせが強い場合、割れたり脱離することがあります。 経年的に接着部に着色が起こることがあります。

【まとめ】

期待の新材料PEEK冠

ですが、やはりたわむ材料ということは、長期的な接着は難しいのではないかと考えています。

保険外になりますが、e.max・ジルコニアの方が長期的に保つと思います。

ですが、予防がいちばん!そもそも削らないといけない状態にならない。これに変わりはないです!

フッ素を正しく使って、定期的に歯科医院でチェックを受けましょう。

著者:大原 裕太
栗林歯科医院 丸の内 院長

「歯科医師が参考にする、歯科医師。」
歯科の論文・予防情報・治療方法に関する発信で歯科関係のフォロワー数は15000人超え
■ 歯科医師/歯科衛生士向け論文知識・治療技術解説の有料オンラインサロン 250人
■ 歯科医院、ウェブセミナーで虫歯治療・予防に関する講演多数

専門家に支持される確かな知識・技術で患者さんの病気を的確に治癒に導きます。

栗林歯科医院 丸の内院でもご相談を承っております。

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